毛髪はずっと伸び続けているのではありません。ある期間成長した後、自然に抜け、しばらくすると新しい毛髪が生えてきます。このサイクルをヘアサイクルといいます。
いま生えている大多数の毛髪は、成長期であり伸び続けています。
通常のヘアサイクルでは成長期が2~6年と言われています。
しかし、頭皮環境悪化や血行不良、毛根の活力低下などが起こるとヘアサイクルが乱れ、成長期が短縮し、毛髪が十分に成長しないまま未熟な状態で脱毛してしまうため、薄毛になるのです。
- AGAの毛周期
- 正常なヘアサイクル
- 乱れたヘアサイクル
- ヘアサイクルが乱れると短く細い抜け毛が増える
- 抜け毛が増えた原因
- ジヒドロテストステロン(DHT)
- ジヒドロテストステロンを抑制する方法
- ヘアサイクルの乱れは季節的な抜け毛も考えられる
- ストレスをうまく解消する
- 栄養バランスの整った食事を心がける
- 十分な睡眠をとる
- 発毛剤を使用する
- 丁寧にシャンプーする
- AGAによるヘアサイクルの乱れは早期の治療が大切
AGAの毛周期
ヘアサイクルは毛周期とも呼ばれ、発毛と脱毛を繰り返しています。
通常は2〜6年の周期で生え変わりますが、ヘアサイクルが乱れると周期が早まり、100日前後で抜けるようになります。
ヘアサイクルが乱れる原因は、ストレスや生活習慣、季節などさまざまです。
ヘアサイクルの乱れは薄毛を招く可能性があります。
そのため、ヘアサイクルの乱れの原因を明らかにして原因を取り除くことが薄毛の予防・改善につながります。
ここからは、正常なヘアサイクルと乱れたヘアサイクル、それぞれの生え変わりの流れについて見ていきましょう。
正常なヘアサイクル
正常なヘアサイクルは、次の周期で発毛と脱毛を繰り返しています。
・成長期(早期)
・成長期(中期)
・成長期(後期)
・退行期
・休止期
髪の毛は、早期〜後期の成長期を経て退行期を迎えます。
退行期は毛乳頭の活動が弱くなり、毛球部が徐々に小さくなる時期です。
やがて休止期を迎えて髪の毛の成長は止まり、脱毛して新たな髪の毛が生え変わります。
正常なヘアサイクルで休止期を終えた髪の毛は、ブラッシングやシャンプー時の軽い力で抜け落ちます。
日頃、ブラッシングなどで多少の髪の毛が抜けるのは自然な現象です。
乱れたヘアサイクル
悪玉男性ホルモンの影響を受けたヘアサイクル
乱れたヘアサイクルは、次の周期で発毛と脱毛を繰り返します。
・成長期(早期)
・成長期(中期)
・退行期
・休止期
ヘアサイクルが乱れていると、後期成長期を迎えず、中期成長期からすぐに退行期へと移行。髪の毛が十分に成長できず、100日前後の周期で抜けてしまうため、一本一本が細く柔かくなっていきます。
ヘアサイクルの乱れは薄毛を引き起こす可能性があります。
薄毛を改善・予防するためには、ヘアサイクルを正常に戻すことが重要です。
なお、AGAはヘアサイクルが乱れることによって抜け毛が進行する脱毛症の1つです。
ヘアサイクルが乱れると短く細い抜け毛が増える
ヘアサイクルが乱れると、髪の毛が健康的に成長できません。そのため、短く細い抜け毛が増えるようになったら薄毛のサインかもしれません。
薄毛が気になる方は、抜けた髪の毛の状態を確認しましょう。
抜け毛が短く細い、あるいは全体的に白っぽい場合は、ヘアサイクルが乱れているかもしれません。
また、通常髪の毛は1日あたり50〜100本ほど抜けます。
多少の抜け毛は自然なことなので心配する必要はありませんが、1日の抜け毛の量があきらかに多い場合もヘアサイクルが乱れている可能性があります。
抜け毛が増えた原因
抜け毛が増えた原因には、脱毛症が関係していることが考えられます。主な脱毛症とその症状は次のとおりです。
中でも、男性の抜け毛・薄毛の原因で多いのがAGAで、日本人男性の約30%はAGAを発症していると報告されています。
前頭部や頭頂部の髪の毛が以前より薄くなっている場合は、AGAを発症しているかもしれません。
治療方法は脱毛症ごとに異なります。そのため、自身で判断せずまずは専門医に相談することをおすすめします。
ジヒドロテストステロン(DHT)
ジヒドロテストステロンとは男性ホルモンの一種です。男性胎児の外性器の生成に関与する役割を持つ他、海馬の内部で合成され、認知力や記憶力にも関与することが知られています。
一方で毛根の受容体に作用すると、毛母細胞の働きを弱める力を持っており、AGAの原因として重要なホルモンでもあります。
ジヒドロテストステロンは男性ホルモンであるテストステロンと5αリダクターゼという還元酵素が結合して生成されます。
AGA治療ではフィナステリドやデュタステリドを用いて5αリダクターゼの活動を抑制し、ジヒドロテストステロンの生成を減らす治療が一般的です。
ジヒドロテストステロンを抑制する方法
ジヒドロテストステロンを抑制する方法には以下の3点が挙げられます。
・亜鉛の摂取
・ノコギリヤシの摂取
・フィナステリド・デュタステリドの服用
それぞれ詳しく解説していきます。
亜鉛の摂取
亜鉛はジヒドロテストステロンを促進する酵素である、5αリダクターゼへの抑制作用があると言われています。
そのため、結果的にジヒドロテストステロンの生成が抑制されるとされています。
しかし亜鉛は過剰摂取をすると、急性亜鉛中毒や胃障害、めまいを引き起こすため注意が必要です。サプリメント等を用いる際には、摂取量を必ず守るようにしましょう。
ノコギリヤシの摂取
AGAサプリにしばしば含まれるノコギリヤシも亜鉛と同様に5αリダクターゼの抑制作用があると言われています。
ノコギリヤシ自体は成分では無く、その名の通りヤシの一種です。ノコギリヤシに含まれるβシトステロールとオクタコサノールという成分が、5αリダクターゼへの抑制作用があるとされています。
イタリアで行われた研究では、ノコギリヤシを摂取した約38%の人に薄毛の改善傾向が見られたとされています。
亜鉛などと同様にサプリメントでも売られています。
フィナステリド・デュタステリドの投薬
AGAは進行性の疾患であるため、しっかりと予防するには、医薬品であるフィナステリドとデュタステリドでの治療をおすすめします。
フィナステリド、デュタステリドは、亜鉛、ノコギリヤシと同様、5αリダクターゼを抑制し、結果的にジヒドロテストステロンの生成を減少させる作用があります。
当然、フィナステリド・デュタステリドは医療用医薬品であるため、亜鉛やノコギリヤシとは効果は比べるべくもありません。
また、デュタステリドはフィナステリドよりもジヒドロテストステロンへの変化を抑える効果が高いです。
DHT への変化の原因となっている 5α還元酵素 (リダクターゼ)には I 型と II 型とが存在します。フィナステリドは、Ⅱ型のみに阻害効果がありますが、それに対して、デュタステリドは I 型と II 型の両方に有効であるため、デュタステリドの方がフィナステリドと比較して、約1.6倍の薄毛改善効果が期待できるとされています。
ヘアサイクルの乱れは季節的な抜け毛も考えられる
ここまで、抜け毛の原因として脱毛症を紹介してきました。
しかし、季節的な要因によってヘアサイクルが乱れ、抜け毛が増えることもあります。
夏に受けた紫外線ダメージが関係しているといわれていますが、詳しいことはわかっていません。
冬は空気の乾燥によって頭皮も乾燥しやすく、春先に抜け毛が増える可能性もあります。
そのほかの季節の変わり目でも、ホルモンバランスの変化などからヘアサイクルが乱れ、抜け毛が増えることがあります。
ストレスをうまく解消する
過度なストレスはホルモンバランスや自律神経の乱れを引き起こします。ホルモンバランスや自律神経の乱れは、ヘアサイクルが乱れる原因の一つです。
そのため、適度にストレスを発散させて、ストレスを溜め込まない生活を送ることが重要です。
ストレスの要因はさまざまですが、大きく心理的要因と社会的要因の2つに分けられます。心理的要因とは性格によるもので、社会的要因とは仕事や仲間など人間関係によるものです。
趣味に打ち込んだり、睡眠を取ったり、適度な運動を行ったりすることで、ストレスの解消が見込まれます。
そのほか知人や家族、医師などに悩みを相談するのも、ストレスを発散させる方法の一つです。
栄養バランスの整った食事を心がける
栄養バランスが崩れるとヘアサイクルの乱れにつながります。
特に脂肪分の多い食べ物を好まれている方の場合、髪の毛に悪影響を与えているかもしれません。
髪の主成分はケラチンと呼ばれるタンパク質の一種です。
ミネラルの一種の亜鉛にはケラチンを生成する役割があり、タンパク質やビタミン、アミノ酸などはケラチンの生成を促します。
栄養バランスの整った食事を心がけることで、通常のヘアサイクルに戻し、髪の毛の成長を促進することができます。
十分な睡眠をとる
髪の毛の成長ホルモンは睡眠時間に分泌されやすいと考えられています。
睡眠不足は髪の毛の成長を妨げる原因の一つです。血行不良を招いてヘアサイクルの乱れにもつながります。
ヘアサイクルを整え、髪の毛の成長を促すためには、最低でも6時間以上は睡眠時間を確保しましょう。
発毛剤を使用する
発毛剤を使用するのもヘアサイクルを正常に戻す方法の一つです。
発毛剤は頭皮の血行を促進し、頭皮や髪の毛に栄養を行き届きやすくする作用があります。
髪の毛の成長を促し、ヘアサイクルを整えることが可能です。
日本皮膚科学会のガイドラインにおいても、市販の育毛剤によってAGAが軽度以上改善した方の割合が全体の3割以上と、その有用性が示されています。
丁寧にシャンプーする
シャンプーの仕方が誤っていると、頭皮環境の悪化とヘアサイクルの乱れを招く可能性があります。
頭皮への刺激によってヘアサイクルが乱れている場合は、シャンプーを丁寧に行うことで改善できるでしょう。
爪を立てて力強く洗うのではなく、指のはらを使って優しく丁寧にシャンプーしましょう。熱すぎない程度の温度でたっぷりのお湯を使い、頭皮への刺激を減らします。シャンプー剤をしっかりとすすぐのもポイントです。
また、髪の毛が濡れた状態のまま自然乾燥させると、髪の毛・頭皮が過度に乾燥してダメージにつながります。シャンプー後はドライヤーを使って手早く乾かしましょう。
AGAによるヘアサイクルの乱れは早期の治療が大切
AGAはヘアサイクルを乱して、抜け毛・薄毛を進行させる脱毛症です。
AGAは進行性の疾患なので、自然に治るだろうと期待してはいけません。
放置すると徐々に薄毛が進行していく可能性があります。
また、髪の毛が生え変わる回数には限界があり、ヘアサイクルの乱れによって短期間で脱毛と発毛が繰り返されると、やがて若い年齢のうちから一部分の髪の毛が生えなくなります。
そのため、改善を目指すのであれば早期に治療を開始することをおすすめします。
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